圧力制御弁の種類と内部構造category
圧力制御弁について
圧力制御弁とはポンプからの吐出圧を調整したり2次的に発生した圧力を逃がし機械的損傷を防ぐ目的に使用される、いわゆる安全弁的な機器の総称です。またアクチュエータのトルク=推力を決定させる重要な働きをもっています。
上記のような多くの機器がありますが基本的にはある一定の圧力に達すると圧力を逃がしたり2次側への流出を阻止する機構を備えています。エアーでは余剰圧力は大気開放し油圧では配管からタンクに戻ります。
リリーフ弁(安全弁)
リリーフ弁は主にメイン配管の圧力設定用として使われています。また異常な圧力で配管破裂や電動機の焼損など機械的な破損を防止する目的に使用される場合は特に安全弁と称します。多くはバネの力により通常は弁を閉じていますが圧力の上昇によりバネの力以上の圧力が掛かると圧力を逃がし配管や機器を保護します。
また、直動型とバランスピストン型の2種類が利用されます。直動側はバネが比較的大きくなり大流量には不向きですが構造が簡単なため追従性がよく文字通り安全弁として利用されています。
バランスピストン型は若干複雑な構造ですがバネが小さくまた圧力オーバーライド特性が高いためチャタリングを起こしにくいため推力調整機構として広く利用されています。
解説(上図onボタンを押すと一連の動作を順次説明します)
- 固定容量型のポンプを使用する場合はその構造上必ず付属します。
- 機器の保護用として異常な圧力で設定する場合は安全弁。常時圧力内で制御するために利用する場合はリリーフ弁と呼びます。
- 主にアクチュエータのトルク=推力調整用のバルブです。
減圧弁
減圧弁とはメイン配管内で部分的に低圧で使用する場合に利用されています。たとえばクランプや排出用のシリンダでの利用が一般的です。メインのシリンダは高圧で利用し枝配管では減圧して使用できます。このバルブは通常1次側と2次側とも開放していますが設定以上の圧力が掛かると2次側への供給を停止することにより2次側の圧力上昇を防ぎます。
こちらも直動型とバランスピストン型の2種類があります。長所短所はリリーフ弁と同様です。
解説(上図onボタンを押すと一連の動作を順次説明します)
- 主系統が1つで2つ以上のアクチュエータへの配分圧力が違う際には必ず使用します。
- バランスピストン型減圧弁には余剰圧力を逃がす為のドレンがあります。空気圧の場合は大気開放しますが、液体の場合は配管で戻します。
- 双方向に流体が流れる場合にはチェック弁付の減圧弁を利用します。
シーケンス弁/カウンターバランス弁/アンロード弁
構造的にはほぼリリーフ弁と同一です。回路内の配置(利用方法の違い)により名称が異なっています。リリープ弁との大きな違いは、パイロットポートがありパイロット圧を入れることにより一次側から2次側へ流体を流す構造になっているものがあることです。
このようにパイロットポートから信号を入れ切換える機能を外部パイロットといいます。また弁の内部で切り替えるものは内部パイロットといいます。
シーケンス弁は設定圧力に達すると2次側に開放させ順次動作させるための弁です。多くはチェック弁付きで逆方向は自由に流れます。
カウンターバランス弁は流体に高圧を掛ける事により負荷をかけるための弁です。こちらも両方向に流体が流れるためにチェック弁付が一般的です。
アンロード弁とはアクチュエータの動作が無い時に意識的に流体の圧力を下げほぼ無負荷で流体を流すことによりエネルギー消費を押さえる弁です。
解説(上図onボタンを押すと一連の動作を順次説明します)
- シーケンス弁/カウンターバランス弁は直動型が一般的です。
- アンロード弁はリリーフ弁同様バランスピストン型が一般的で配置もほぼリリーフ弁と同じ所に設置するため両方を兼ね備えたアンロードリリーフ弁もあります。
ブレーキ弁
構造はこちらもリリーフ弁と同様です。利用方法によりチェック弁がついている場合があります。
アクチュエータ停止させる時その慣性力が配管内部で高圧になるのを防ぎ緩やかな減速を行う弁です。また慣性によりアクチュエータの前の配管内は負圧になるのを防ぐような構造になっています。
- 制御機器の発達により近年あまり利用されていません。
- 大型トラック等に使われている排気ブレーキもブレーキ弁と同じ構造になっています。
バランシング弁
一次側がリリーフ弁逆方向は減圧弁のような構造の弁です。
重量物のバランスを保ち比較的小さな力で仕事をする場合に利用します。マシニングセンターのバランス回路などで広く利用されています。
- 一次側が減圧弁弁逆方向カウンターバランス弁として機能します。
圧力制御弁の選定
選定に関しては別項の選定や回路設計を参照ください。ただ圧力に関する機器は主にアクチュエータの力を制御させる機器か機械の負荷を和らげるモノと思ってください。
ここに紹介した機器は安全に直結しますので選定取り付けには特に注意してください。回路にもよりますが機器交換の時は特に事故がおきる可能性が高まります。
力調整を最低にした上で序々に圧力を上げる等、未然に事故を防ぐよう注意しましょう。