流量制御弁の種類と内部構造category

流量制御弁について

流量制御弁とは流体の流れを制限しアクチュエータのスピードをコントロールする機器の総称です。

  1. 絞り弁
  2. 流量調整弁
  3. 複合流量制御弁
  4. ストップ弁

上記のような機器があります。多少構造は違いますが水道の蛇口を思い出して頂くとわかりやすいと思います。

絞り弁

絞り弁は水道の蛇口と構造も外観もよく似ています。違いは高圧や悪条件にも耐えうる材質を使用している点です。

またストップ弁とも似ていますが絞り弁は完全な締め切り(流量0)とするためのものではなく流量の調整範囲を大きく取れる構造で目盛りが付いているものもあります。

  1. アクチュエータのスピードコントロールに利用します。逆方向は最大速度で移動する場合はチェック弁付の絞り弁も利用されます。
  2. 粘性や圧力により同じ開度でも流量が大きく変化するため緻密な制御には利用できません。
  3. IN側に対しOUT側は流速を抑えられた分圧力は降下しますがOUT側の負荷が発生すれば圧力は再びIN側の圧力まで上昇します。

流量調整弁

通常の絞り弁は圧力や粘度(温度変化含む)により同一開度でも流量が変化します。これは精密な制御を行うには不都合で精度が必要な箇所には流量調整弁を使用します。

絞り弁に差圧一定型減圧弁を追加し1次側2次側の圧力差が大きくなると減圧弁自体で流量を制限し圧力変動があっても流量を安定させます。また絞り自体の構造を薄刃オリフィスにし粘度(流体の温度変化含む)も補償する温度圧力補償型流量調整弁もあります。

  1. 絞りの構造で薄刃オリフィスを利用すると粘度変化しても流量を一定量に補償します。
  2. 圧力差を利用して流量を調整するため1次側2次側に圧力差が1.0Mpa(10kgf/c㎡)以上ないと正常に機能しません。
  3. 薄刃オリフィスはごみに対する許容量が狭いため通過流体の管理が重要です。

複合流量調整弁

複合流量調整弁はパラレルに流量調整弁を取り付け大流量小流量をドッグにより多段階に切換える機器で主にスライドに利用される弁です。

  1. 機械的(多くはローラーロッカー)で流量調整弁を切り換えます。ドッグの位置によりコントロールします。
  2. 逆方向の流れは逆止弁で自由流になります。

ストップ弁

これは通常開または常時閉として流体の損失を防いだりメンテナンスが目的の弁で絞り弁と構造が近いのですが絞る調整範囲が非常に狭く漏れないことを考慮しているため絞り弁として使用はできません。エアータンクのドレン抜きなどに利用されています。

  1. バタフライ型。ボール型等がありますが完全に止めることが条件であり本体は流量制御弁ではありません。

流量制御弁の選定

選定に関しては別項の選定や回路設計を参照ください。流量を調整する機器は主にアクチュエータの速度を制御する機器と思ってください。ここに紹介した機器は安全に直結しますので選定取り付けには十分注意してください。

回路にもよりますが機器交換の時は特に事故がおきる可能性が高まります。流量を最低にし、(流量 = 速度)を序々に上げる等、未然に事故を防ぐ様注意しましょう。

液圧では柔軟で安定的な速度調整が可能ですが空気圧では圧縮により速度制御が難しいことが一般的です。雰囲気としては油圧はジワジワ動かせますが空気圧はスパスパ動きます。

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